ウェブマガジン



イベント概要
| 開催日 | 2026年3月19日(木)20:00〜21:30 |
| 開催形式 | オンライン(Zoom) |
ラシーナでは2024年から、新たな挑戦として「キャリア教育」に取り組んでいます。
本イベントは、2年間の取り組みを通じた子どもたちの変化や現場での気づきを実践報告として共有し、フリースクールにおける「キャリア教育」の可能性について考える場として企画。
フリースクールでのキャリア教育の取り組み事例の紹介と、関わったメンバーによるリアルなクロストークをお届けしました。
ウェブマガジンの記事では、当日のイベントで紹介した取り組み事例の概要と、クロストークの中からエッセンスを抜粋してをお伝えします!
プログラム
- 背景:なぜフリースクールでキャリア教育?
- 実践報告:キャリアコンサルタントによるワークショップと自由に話せる対話の時間
- 実施メンバーによるクロストーク:やってみてどうだった?現場のリアルなエピソード
登壇者

志塾フリースクールラシーナ
理事長

会社員、ファンドレイザー
NPO法人xTReeE

キャリアコンサルタント
NPO法人xTReeE

会社員、キャリアコンサルタント
NPO法人xTReeE
背景:なぜ、フリースクールでキャリア教育?
きっかけ
ラシーナは2016年に大阪府でフリースクール事業を開始し、現在は泉北エリアで3拠点を運営しています。
活動を始めた頃、私たちが関わっていたのはほとんどが小学生でした。
その子たちが少しずつ学年を上がっていき、高校を卒業して大学や専門学校に進んでいく子が出てくるようになりました。
そして活動を始めて10年が経ち、社会に出て働くという子も増えてきました。
私たちがサポートできるのは高校生まで。高校を卒業して進学先が決まれば「よかった」と思っていたのですが、その先を追いかけてみると、大学や専門学校を途中で中退してしまったという話もちらほら聞こえてくるようになり、「進学まで見届けたからよかった、ではないな」という気づきがありました。
ならば、私たちがサポートできる小中高の段階でキャリア教育を入れていく必要があるんじゃないか。それがこの取り組みのスタート地点でした。
好きなこと・自分らしさが、将来につながる
「キャリア教育」というと、職場体験や就職指導をイメージされる方もいるかもしれませんが、今回私たちが「キャリア教育」として大事にしたのは子どもたちの「自己理解」。
例えば毎日ゲームばかりしている子も、ゲームのどんなところが好きなのかを掘り下げていくと、クリアに向けて攻略するのが好きな子、仲間と協力してプレーするのが好きな子など、実はゲームの裏側に「その子らしさ」がたくさん隠れています。
そうした「らしさ」を見つけることは、将来、社会へ一歩踏み出すときの「自分自身のつよみ」に変わります。
「キャリコンさん」との出会い
ファンドレイザーとしてラシーナに伴走してくれている石谷さんが、キャリア教育のNPOにも関わっているご縁で、「キャリアコンサルタント」のお二人(ますちゃん・いたっさん)とつながることができました。
キャリアコンサルタントは対話を通じてその人の価値観や自分らしさを引き出すプロです。
とはいえ、どんな形でキャリコンさんと子どもたちが話す機会をつくるか!? 2024年夏頃から、ラシーナのスタッフとキャリアコンサルタントのお二人で、試行錯誤がスタートしました。
実践報告
試行錯誤のプロセス
- 2024年度:オンラインイベントで、まずはキャリコンさんの人となりを知ってもらう
- 2024〜2025年度:「オンライン保健室」と題して、自由に何でも相談できる機会を定期開催
- 2025年度:教室でのキャリア教育プログラムを実施
オンライン相談イベントの開催と「オンライン保健室」の定期開設
2024年10月に、泉北BASEの会場とキャリアコンサルタントの二人をオンラインでつなぎ、公開イベントで相談会を開催。
まずはキャリアコンサルタントについて知ってもらうための企画でした。
その後、「オンライン保健室」と題して、自由に何でも相談できる機会を定期開催。2025年度は、塾生・スタッフ・ボランティア向けにも相談日を設けました。

「自分らしさ探検プログラム」の実施
2025年度は、ワークショップ形式のキャリア教育プログラム「自分らしさ探検プログラム」を3つの教室で実施しました。
- 2025年9月:泉北教室
- 2025年11月:富田林教室
- 2026年3月:城山台教室
プログラムでは「ワークグラム」という自己理解ツールを活用。40項目の問いに対して、自分の興味・関心に沿って◎○△×をつけ、どんな特徴があったかを考えます。
その後、グループワークで同じ教室の仲間・先生・キャリコンさんと対話し、自分だけでは気づけなかった「らしさ」を見つけていきました。



子どもたちの感想


実施に関わったメンバーによるクロストーク
クロストークでは、実施メンバーによる「やってみてどうだったか?」率直な感想や現場のリアルなエピソードを紹介。
難しかったことや改善点も含めて振り返りました。
導入期の試行錯誤について
ハイブリッドのイベントで公開相談会!?試行錯誤からスタート

まずはキャリコンさんについて知ってもらおうということで、公開のイベントで相談会を開催しましたが、通常のキャリアコンサルティング面談は1対1のクローズドな場での相談が基本なので、ますちゃんといたっさんには、かなりの無茶ぶりだったと思います(笑)
「キャリコンさん」って何者?状態の中、いきなり生徒さんに相談に来てもらうのは難しいと思ったので、キャリコンさんと生徒さんが話すきっかけをどう作るかが課題でしたね。
オンライン保健室と題して「何でも話しに来ていい場」を定期開催

その後、「オンライン保健室」としてキャリコンさんに時間を確保してもらったものの、子どもたちが自分から「相談」に行くのはなかなかハードルが高かったです。なので「ちょっと話に行ってみたら」と個別に声をかけてZoomの前に連れて行っていました。
「話すことなんかないし」と言いながら、別室に連れて行ったら、1〜2時間経っても帰ってこない。
そして帰ってきた子の顔がすごくスッキリしているんです。
「喋れてよかった」って。
キャリコンさんは子どもたちと、どんな話をしている?

最初から悩み相談というわけではなく、日常の話を聞いていくうちに、ふと、悩んでいることや気になっていることが出てくることが多いです。
「それはどうして?なぜそう思ったの?」と聞いていくうちに、あっという間に1〜2時間が経っています。
子どもたちにとって、「普段聞いてもらえないことを聞いてもらえている、自分に興味を持って受け止めてもらえている」という実感持ってもらえているのかもしれません。
対話のコツや心掛けていることは?

良いとか悪いとか、正解とか不正解とか、そういった観点は一切取り払って、ただただ本当に興味を持って聞いていきます。
そうすると、子どもたちは自然に、どんどん話してくれるようになります。
普段は会わない「斜めの関係」の第三者だからこそ、いつも一緒に過ごしているおうちの方や先生には話せないことを話しやすいのかもしれないですね。
教室での「自分らしさ探検プログラム」について
自分だけでは見えていなかった自分を知る

教室のスタッフからは、泉北教室は中高生が多くて、自分事として意欲的にワークグラムに取り組んでいた様子が印象的だったと聞きました。
城山台教室は小学生が多かったので自分では埋めきれなかった子もいたけれど、自分が回答したものを他の子と交換して、相手から見て「あなたそういうところあるよね」とか「そうだよそうだよ、そういうところすごくあるよ」という風に、他の子に分析してもらうことでさらに自分への理解や発見が生まれていたそうです。そのやりとりがとても良かったというスタッフの話がありました。
自分らしさが見える化される良さ

私も城山台教室でのワークショップを見学させていただいたのですが、先生がワークグラムの用紙を回収した時「家に持って帰りたいからコピーして返してほしい」と言っている子がいたのが印象的でした。
「自分らしさ」が、何か見えるカタチになるのが、ワークグラムのよい所ですよね。
小学1年生から高校1年生まで、幅がある難しさ

私自身もワークグラムを受けさせていただいたので、教室で子どもたちに実施する時もスムーズにサポートができました。
フリースクールには小学1年生から高校1年生までいるので、すらすらできる子とちょっと難しい子がいました。
ただ、そもそも自分自身について考える機会ってすごく少ないと感じているので、内容が難しかった子にはイントロダクションを工夫するなどして、今後改善していけるといいのかなと思います。
よりよい形に改善して、継続的に関わっていきたい

今回、受けてくださった生徒さんに年齢の幅があったのは、私たちにとっても良い経験になりました。
年齢の違う子たちが混じり合っているところがフリースクールの良いところだと思いますので、今年度の実践を振り返って、よりよい形に改良していきたいです。
今回、そういった場を与えていただけてありがたく思っています。
短所だと思っていたことも、見方を変えると長所

言葉にしたり周りとコミュニケーションを取ったりするのが難しい子にとって、ワークグラムはちょっと難しかったみたいですが、教室のスタッフに聞いたエピソードで印象的だったのが、いたっさんさんが「バツも付けていいんだよ」って声をかけてくれて、最終的に「短所の部分が長所になるんだ」って気づきを得た時に、パッと表情が変わったと。得意じゃないことにチェックをするということが、自分を肯定的に捉えるっていう気づきにつながっていた所が発見でしたっていう話を聞きました。
ぜ〜んぶひっくるめて「じぶんらしさ」

「自分らしさ」って、得意・苦手、好き・嫌い、ぜ〜んぶひっくるめたもの。
苦手なこともらしさのひとつで、それをどう活かすかが大事なんです。
好きなことや得意なことは変わっていくものなので、「らしさ」も少しずつ変化していきます。なのでそこに寄り添えるよう、継続的なプログラムにしていけたら素敵だなと思います。
今後について
フリースクールでのキャリア教育という新たな挑戦を、今後も発展させていきたい

不登校関連で相談というと、保健室の先生や心理士さんなど、心理職の人というイメージが一般的だと思うのですが、あえてキャリアコンサルタントに相談に乗ってもらうというのは、すごく新しい取り組みだと思います。
進路とか働くことだけを聞いてもらうのではなくて、それ以外の悩みも聞いてもらえる。そして日常の悩みを聞いてもらいながらも、最終的には自分のキャリアを考えることにつながっていく。
どっちの入り口から入っても「自分について考えることにつながる」という意味で、キャリアコンサルタントのお二人に関わってもらえてすごくよかったと感じています。
これを仕組みにしていきたいと思っているので、お二人からも、今後も継続的に関わっていきたいと言っていただけて嬉しいです。
もしかしたら他のフリースクールでも同じことをやりたいというところが出てくるかもしれないですし、まずは私たちが率先して仕組みをつくって、フリースクールでのキャリア教育の取り組みが「めっちゃいいですよ」と広めていけたらと思っています。
